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2010年11月11日 (木)

2010.1106.07 奥多摩裏銀座(長沢背稜をゆく)2

幕営地にて。

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迷わず行きたいところだが、いきなり迷う。どこから入るの?って。行けばわかるさ。

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南東に向けて踏み跡らしき跡を追うと赤テープ発見。このたった一つの赤テープに安堵する。不明瞭な道なき道をスントのコメットを握り締め太陽のあたる所を目指す。

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雲取山からの長沢背稜道にぶつかりひと安心。緊張と安堵の繰り返し。

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ちょっと景色を見たり写真をとったりすると踏み跡が無い為、細かい方向が分からなくなり不安になる。っていうか落ち葉ふんわりで何も見えないのだ。南に向き石尾根を眺めて現在位置を把握する。出来ているかは知らないが。多分、下の写真に見えるのは雲取山だと思う。尾根筋を見ながらコンパスで方向を確認。高度計で標高確認。脳をフル稼働させる。タワ尾根ノ頭までは東に伸びていくトレイルだ。尾根先の高み目指し太陽に背を向け歩き続けた。

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長沢背稜に入って20分位歩いた頃、トレイル脇にビバーク中のテントを見つけた。中から顔を出した男の顔に一瞬、緊張の色が走った。しかしこっちの身なりを見て安心したのか笑顔になり

「いや、もう疲れでしまってね。で、どこまで?」 

「ちょいと、そこまで」

目礼をして通り過ぎようとした僕の後ろ姿に声が飛んできた。

「にいちゃん、この先に水場ないよ。水持ってるか?」 

「一応、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」

「んじゃ、気を付けて」 

こちとら同じ穴のムジナですよ。ビバークを咎める気は無いのでごゆっくりと。

かすかに残る踏み跡を見失い横に外れると又、かすかに残る踏み跡に出る、の繰り返し。地図とコンパスと石尾根で現在位置の把握に務める。この不安と安堵を繰り返していると徐々に慣れてきて気持ち良くなってくる。これは脳内で何かが出てきているな。

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痩せ尾根をいくつか越えて進む。長沢背稜に入ってからビバークのお父さん以外、誰ともすれ違わず。もちろん踏み跡なし。

そして木々の間から見えるピラミダルな山容を目指して登って行くとそこが長沢背稜の主峰、長沢山。時刻にして15:12。もう太陽が傾きかけている。晩秋の日の入りは早い。当然、酉谷山避難小屋までは無理なのでビバーク地を探しながら下る。

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水松山の手前、北側に広がる平坦な場所を見つけたので50mほど奥に入った所を今宵の幕営地とした。ここ最近の霜降りが原因か地ベタが柔らかくペグが決まらないので靴でペグごとかなり強めに踏み固め事無きを得た。南西の風を微量に感じたのでシャングリラ1を低めに設営した上に南側の隙間を落ち葉で塞ぎ風止めする。気温2℃。既に吐く息が白い。しかし曇ってきたので放射冷却の心配は無い。

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抹茶を飲もうと思ったけれどスタバで行く。今回の新しく試すアイテムは酒饅頭と茶饅頭。元ボクサーで世界チャンピオンまで上り詰めた男が経営する和菓子屋で購入してきた。昔から値段の安さと庶民的な味が自慢の店だ。”揚げ饅頭はあるか”、と聞くと”無い”との返事。馴染みでもないので揚げてくれ、ともお願いできないので黙って2ヶづつ購入した次第。

で、食べてみるとこれが又、旨い。腹持ちも良い。正直、大福と迷ったのだが、氷点下で大福の餅が凍ったら難儀だな、と思い大福をあきらめたのだが、家に帰って嫁にその話したら”雪見だいふくがある位だから大丈夫じゃないの”と簡単に論破された。そもそも、女って生き物は男のロマンを解っていないのだ。

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緊張しっぱなしの一日だったので饅頭と珈琲を飲んだら直ぐに眠くなりそのまま寝てしまった。

”キョンッ” ”ヒュン”

いつの間にか辺りは真っ暗。聴き馴れたあの恐るべき声鹿の声に起こされる。時刻にして18:30頃。空腹は憶えていないけれども事務的に食事を摂る。山では粗食なのだ。チーズをつまみに少し飲む。

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気温0℃。外が見えると怖いのでシャングリラ1のファスナーは下ろしたまま。当然、結露する。入り口オープンのタープで幕営してて怖くないのかな。タープで野営に憧れる。

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そして寝袋にくるまりながら途中で見た鹿の食害問題のパネルを思い出していた。立ち枯れの痛々しい木々を沢山見てきたし、樹皮を食われ死にかけている木々達も沢山見てきた。南アルプスでは高山植物の芽が全部食われちまう、と嘆いていた。山には山の事情があるのだ。しかしこうやって彼らの場所に入り、一畳と少しの寝床を借りている身としては複雑だ。

お互い、生きにくい世の中になったもんだよなぁ、街ん中も山ん中も。

”キョンッ” ”ヒュン”

来年も此処に来よう。そして再来年も。彼らのブルースが聴こえ続けるまで。果たして10年後も聴こえるのだろうか。それとも単なる昔話になってしまうのか。無力感で減速する感情線とは反対に彼らのブルースは加速していく。

それにしても今夜はやけに喉が渇く。飲み過ぎたのかもしれない。今夜、長沢背稜に独りでいる。こんなセンチメンタルな夜もたまには、良い。

奥多摩裏銀座(長沢背稜をゆく)3

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コメント

あぁ写真で見ても踏み跡がわからないじゃないですか・・・
こんなトレイル歩けないですよ・・・
恐ろしい・・・

あぁシャン1がパツンパツンと綺麗に張られて居ますね
そうそう何でも雲取シャン1フェスが開催されるとかされないとか・・・
どうですか?w

しかしビバークってやっぱり水が心配ですね~
なので恐ろしくて出来ません・・・

雲取山で開催されると噂されるシャン1フェスの
申込会場はこちらでしょうか?

しかし長沢背稜は噂どおり踏み跡が少ないんですねぇ。
高水三山ですらルートロストしたワタクシが近づける山域なのか、
にわかに不安がよぎり始める今日この頃です。

ちなみにウチの奥さんの父御は、○島氏にソックリなのです。
あぁこれは山とは無関係な話でしたね、失敬。

samantha802さん、どうもです。

芋ノ木ドッケから水松山までのトレイルは今の自分にはちょっとテクニカルでしたね。
でも水松山以降は登り下りもなく踏み跡もしっかりした静かで良いトレイルでした。

ビバーク童貞を捨てる相手が長沢背稜でホント良かったです。

良いですね。雪でも降ったらフェスりますかw

ようようさん、どうもです。

緊張と安堵の繰り返しは確実に脳内から素敵な成分が分泌されます。是非。

>ウチの奥さんの父御は、○島氏にソックリなのです

紹介してください。
自分的に輪島とか釜本とか衣笠とかゴルフの青木とかの顔が特に好きなので、是非。

こんにちは。

私もよく道に迷うので、山を歩くときはそれがどんなに歩き馴れた山でも、
必ず首からSILVAのコンパスをぶら下げて歩いてます。

コメットはバックアップとしてナイフに紐でぶら下げて持ち歩いてますが、
磁針は正確だけど、動きが遅く、視認性が悪いので常用するコンパスとしては使い勝手はよくないですね。

道に迷わないこつは、普段から常にコンパス、地図で現在地確認をすること、
と地図読みの本に書いてありました。

mobydick67さん、どうもです。

>必ず首からSILVAのコンパスをぶら下げて歩いてます
それですね。以前、小道具の出し入れが面倒臭いのでサコッシュに変えたのですが
大きなコンパスを持っていながら出し入れが面倒になりコメット使ってました。
首から下げれば問題解決ですね。それで行きます。

コメットはナイフにでも付けときますね。
因みに今回、熊が怖いので護身用にオピネルをサコッシュに入れて歩いてました。
サイズはNo.7で、まだトマトの試し切りしかしてないヤツですw

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