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2012年2月10日 (金)

2012.0204.05 タワ尾根~長沢背稜 その1

東日原バス停前にて。

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早朝5時30分の三鷹駅。待ち人来ず。人もまばらな南口のベンチに座り僕は電話を入れた。

「おい、君。待ち合わせの時間はとっくに過ぎているぞ。一体どこに居るのだ?」

今回の相棒はhikerbirderこと、バダさん。去年の秋から公私共に忙しいバダさんと一ヶ月前から打ち合わせをして今日の日を迎えた。しかし電話の向こうの相手はHrk55こと、うえちゃん。実は彼も同じ日に奥多摩エリアに入る事になっていたので奥多摩駅までは一緒に行こうという事になり駅前で待ち合わせをしていたのだ。日原エリアに向かう僕らとは違い彼は友人の183氏と丹波エリアを目指すらしい。たしか三条の湯でのんびり、みたいな事を言っていたな。

「あ、ジャキさん、おはようございます。何ですか?え?三鷹駅にいる?ジャキさん、待ち合わせは7時30分ですよ。」

「・・・」

ミスを嘆くよりもどの様にリカバーするかがバックカントリーでは重要なのだ。なので空いた時間で以前からやりたかった「朝マックしてから山」をしにマックの前に向かうも三鷹店は6時オープン。仕方が無いので向かいにある吉野家で牛丼を食べて時間を潰してからマックの入り口で開店を一人で待ち、福男宜しく、開店と同時にカウンターへ向かった・・・

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奥多摩駅で丹波エリアに向かうウエちゃんと183氏に別れを告げて僕らは東日原行きのバスに乗り込んだ。バスの外でウエちゃんが手を振る。彼の表情に少し陰りが見えたのは決して寒さのせいだけではないような気がした。しかし、この時は深く考えずに手を振り返して再会を約束した。明日三鷹で会おうぞ。

 

東日原のバス停に降り立つと真っ先に目に入ってくるのが稲村岩。この岩の高さは約300m(標高ではない)。この高さ感を頭に入れておけば実際に300mという高さのイメージが出来る、と以前、三鷹の地図講習で学んだ。実際に色々なエリアに入った時に目の前の登りは何メートル位だな、程度の判断がつくようになったので、読図とは別に良い事を教えてもらったと思っている。

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今回はタワ尾根から取り付いてウトウの頭から長沢背稜まで繋げる事が目的。破線ルートでもあり初めて歩く尾根筋なので、適度な緊張感を持ちつつ燕岩の麓にある一石山神社の鳥居を潜った。

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歩き始めはまばらな積雪も40分ほど歩くとくるぶし程度にまで積もっている。僕らはここで足回りを整えた。

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足回りの装備は以下のとおり。

靴:MerrellのSwitchback GTX
ソックス:Sealskinz Activity Socks
シューズカバー:Gill B300 Neoprene Overshoes
ゲイター:Outdoor Research Verglas Gaiter
クランポン:Kahtoola Micro Spike

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去年と殆ど変わらず。靴だけ穴の開いたサビノトレイルからメレルに変わっただけ。一応、2日感を通して雪の中を歩き通したが一切冷えを感じなかった事は此処に記しておく。

植林と原生林の境界線を歩き標高を上げていく。

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植林帯を振り切りると広いタワ尾根の森が広がる。裏奥多摩エリアの魅力の一つにもなっている豊かな原生林の森。雲ひとつ無い青空にミズナラやブナ、ダケカンバの白い幹が映える。それも結構太いのがゴロゴロしているので否が応でもテンションが上がる。

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森の奥に歩みを進めていく。その森の奥に鎮座するのはタワ尾根の守り木「ミズナラの巨木」。写真だと伝わらないがとにかく妖艶な気を発している。ウッドサークルが無かったとしても容易には近づけない。とにかく発する気が強いのだ。何かが宿っている。以前、とある宗教団体がこの巨木の脇に宗教施設を建設する計画があったらしいがタワ尾根の巨木がそれを許さなかった。結局、話は有耶無耶になり流れてしまったようだ。無礼にも程がある。

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僕らはミズナラの巨木から少し離れた場所に二畳ほどのスペースを借り昼食を摂らせてもらうことにした。

肩に羽織ってるのはベルメゾンの ダウンケット。停滞時にはこのドテラ使いが気に入っている。ジャケットのように腕を通す事もなく、肩ぐりを保温。下はオープンなので汗の抜けも良い。

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抹茶とコンビニで買い求めたおむすびのみの簡素な昼食。

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ミズナラの巨木に旅路の安全を祈り、先を急ぐ。標高1200mを越えた辺りから雪も大分厚くなってきた。脛から膝下。ここからはトレースなし。しかし素直な尾根歩きなので高いところを目指して行けばよい。

この頃はまだ体力もありはしゃぎながら二人して雪上ウォークを楽しんだ。

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しばらく歩いているとクラストエリアに突入した。踵で亀裂を入れてそのまま押しこむ。5cm位のクラストだと体重を掛けて初めて割れるので2段階の衝撃が膝に来る。先ほどまでのニコニコラッセルからジワジワと体力が削られていく。踵を落とす、体重を載せる。クラストが割れて体が沈み込む。足にまとわりついた重いクラストを抜き解き足を前に出す。この繰り返し。ウトウの頭に向けて傾斜も付いてきたので尚更だ。途中の休憩でこの憎たらしいクラストの欠片を手に取ると裏には真っ白できめ細かい雪粉が顔を出した。喉の乾いていた僕らは手にしたクラストの欠片に練乳を掛けて頬張る。天然の練乳アイスだ。乾いた喉と疲労から来る甘味欲にダブルで答えてくれる。旨い。食べ放題。

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うめぇ!

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これは!

ひと通り食べて疲労も和らいだのでウトウの頭を目指して歩き始めた。

ラッセルをしながら道中を進んでいると何処からともかく、木の幹を叩く乾いた音が聞こえてきた。

”コンッ” ”トントンッ” ”カンカンカンッ”

「このソリッドで力強いペック音はアカゲラだね。春に向けてアカゲラ(赤啄木鳥)が幹に巣穴を作っているんだよ」

HikerBirderことバダさん。名前の通り歩く人でもあるが鳥を見る人、鳥の声を聞く人でもある。バダさんとのハイキングは鳥が沢山登場する。普段は気にも留めない鳥の鳴き声から鳥の名前を教えてくれる。耳を澄ますと至るところで木を叩く乾いた音が響いている。

”コンッ” ”トントンッ” ”カンカンカンッ”

巣作りの為に幹をツツイてるアカゲラを想像すると可愛らしさと一生懸命さに抱きしめてあげたい衝動に駆られる。

”コンッ” ”トントンッ” ”カンカンカンッ”

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アカゲラの巣作りの音に耳を傾けながら僕らは更に森の奥へと歩みを進める。アカゲラの次の鳥はウトウ。ウトウの頭だ。

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ウトウの頭の手前まで来るとロックエリア、倒木、藪、ラッセルの複合トレイルの様相を呈してくる。トレースも無いので一番の高みを目指して直登する。ウトウの頭なんてファンシーな名前からくるイメージとは違いかなりの剛の山。タワ尾根から頭一つ抜けだしている独立した峰だ。意外と傾斜もあり中々の山容。

僕らは木々に囲まれ展望のないピークの上であの有名なウトウの表札を探しに歩き回った。ピークの奥まで進むと木の枝からぶら下がる青い表札を発見した。

ウトウの頭。

もし奥多摩検定があるとしたらその1級のクエストはこの「ウトウの頭の表札」をカメラに収めてくる、って事だと思っていた。その位自分の中では破線ルートに対しての憧れと畏怖を持っていたのだ。そして遂に自分の足でウトウの頭の表札をカメラに収めることが出来た。久々に達成感。トレイルがテクニカルだ、とかそういった事ではなく、奥多摩を歩き始めたころから意識していた山だった。他の人にとっては奥多摩の尾根の一つにある展望の効かない地味な山かもしれないけど僕にとっては特別な山なのだ。

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暫くこの表札を眺めたり写真を撮ったりしていたら大分日が傾いて来ている。先を急がなければ。今日中に長沢背稜にタッチしてタワ尾根と繋げなければならないのだ。
ウトウの頭を抜けて先に進むには一旦戻り気味に岩を巻いていく。トレースもないので真っ直ぐ突っ込んでしまったがバダさんが横から岩をまくトレイルのリボンを発見してウトウの頭からの脱出に成功した。

ウトウの頭から見える長沢背稜東部。雪付いてるなぁ。明日はあそこを歩くのだ。

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裏奥多摩にありがちなやせ尾根&木の根っこ&ロックエリア。

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今回の行動食はブルボンのアルフォート。下界とは違い心置きなくチョコ菓子を食べれるのがよい。

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この辺りからラッセルとトレイルが大分キツくなってきた。傾斜もあり雪質がパウダースノーで足の踏ん張りが全く効かない。歩くパワーがロスしているのが解る。これで大分時間を食われてしまった。バダさんも遅れ気味。僕も右膝の内側にピリッとした痛みを感じたので歩くペースも大分落ちてきた。このままでは酉谷避難小屋まで行けそうにない。長沢背稜の何処かのフラットを探そう。とにかくビバーク出来る場所まで行かなければならない。とにかく先を急ごう。僕らは太陽が沈み薄暗くなった尾根を北西に向けて重い足取りで進んで行った。

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それから1時間後。僕らは遂に長沢背稜まで到達した。

 

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Lou Donaldson - Blues Walk

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コメント

ミズナラの巨木、気がありましたか、、、
私、2回あの場所行ってますが、1回目の時にカミナリにやられたんですよね。ミズナラの恨みでも
買ってしまったんでしょうかw
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-72205.html
ちなみに二度目がこちら。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-88758.html

なんかあのウトウノ頭の陶器の頂上標有名ですよね。でも、わざわざあれデザインして作って焼いてあそこまで歩いて持ってきた作者のことを思うと、なんでこんなにマイナーなピークを愛してるんだろうってやたらと気になります。何か作者なりに、この山との大切なエピソードでもあるんだろうか。

後半楽しみにしてまーす。
あと、稲村岩じゃないですっけ、、、?誤字かな?
しかし1泊2日でザックこれくらいなんですね。何キロぐらいですか?

長沢背稜。僕も昨年末歩きましたがとても気に入りました。
退廃的というか、あまり人の手が入っていないというか。
また暖かくなったら行こうかなと思いますよ。
2時間前集合。流石です。

稲村岩の300mは私も深く心に残りました。
ってか、このバダさん。地図読み講習で一緒だったような・・・。

私も明日コンデンスミルクもって行くつもりなので雪食べまくってきます!!v(≧∇≦)v

空が青くて写真が素敵・・・

ども。
やはりタワ尾根いいっすねー!
早く僕もタワ尾根歩きたいです。
雪解けを待ちわびてますよ。

"高さ感の基準"を作っておくってのはスゴくいいっすね!!
次の山行は東日原inになりそうですw

ジャキさんの帽子どこのですか?カワイイっす。

ヤスヨさん、どうもです。
ヤマレコ見ました。熊倉山に抜けていくの怖そうですね。
ぼくも破線ルートも歩いてみたい(興味だけ?)ので色々と教えて下さいな。
あと稲村岩の間違いですw 
水は2.5リットル担ぎあげました。クランポンやゲイター、ストック等の装備を含めて
トータルのパックウェイトは約10kgでした。
幕がタープだったんでその分も軽かったかも。

>クロちゃん、どうもです。

裏奥多摩は秩父側も含めてまだまだ歩いてないので今年は僕も歩こうかな。
退廃的。そうですね。そして物静かな雰囲気が僕は女性的だと思う。
石尾根が王様なら長沢背稜は女王。
長沢背稜は女王の森ですよ。
”雪化粧は長沢背稜の正装”とはロードマンの言葉だけど
正に雪化粧をした女王の森を是非!

>sabletさん、どうもです。

うん。あの300mの話は本当に為になってる。
あと地図講習を受けた、という自信と読図してみよう、という積極性が
今回の山行でも少しは役に立ったかな?

>私も明日コンデンスミルクもって行くつもりなので

めちゃ旨だから食べ過ぎには気をつけろw
あと銘柄は森永ね。
あれは牛の絵が可愛いんだw

>AkinorLEEさん、どうもです。

人に全然会わないから良いよ~w
展望は無いけど長沢背稜は真っ平らでアキノリくん的なトレイルだよ。
雪解けを待たずに、是非!

>booちゃん、どうもです。

この距離から見てあの山は何メートル、ってトレーニングは目測だけど
かなり参考になるのとペース配分に貢献するね。
読図講習はそういった感じの地図がなくても如何にサバイブ出来るか?的な講習が多くて勉強になったわ。

帽子?TURTLE FURだよ。シンプルな柄のヤツは珍しいでしょw

いいーなー!
ラッセル絡んだウトウは行ってない。
行きたい。

相変わらずジャキさんの文は良いね。

jackieboyさんのブログ楽しくて結構チェックしてるんですよ(* ̄Oノ ̄*)実は読者なんです(笑)普段はあんまりコメントとかしないほうなんだけど(照)見てるだけなのもアレかなって思ってコメントしてみました(笑)jackieboyさんに仲良くしてもらえたら嬉しいですヽ(゚◇゚ )ノ一応わたしのメアド載せておくので良かったらお暇なときにでもメールください≧(´▽`)≦ココログやってないからメールしてもらえたら嬉しいです(^ε^)♪まってるねえ(o^-')b

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