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2012年2月19日 (日)

2012.0204.05 タワ尾根~長沢背稜 その3

トレースなしの長沢背稜にて。

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目が覚めると既に外は明るくなっていた。久々に熟睡出来たなぁ、なんて思っているのもつかの間、今日は午後から予定があり早立ちする予定だった事を思い出した。バダさんを起こして出発の準備をしないと。

水が少なくなってきたので少しだけ雪を溶かして砂糖をたっぷりと入れた紅茶を淹れる。体が目覚めた所で朝食の準備に取り掛かる。今日はアルファ米の卵入り雑炊。先ずは凍りついている卵の殻を向く作業。

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軽く煮込んで鍋ごとアストロホイルで作ったコジーに入れてベルメゾンダウンケットで包んだ後は5分ほど保温調理。燃料節約。卵一個を落とすだけで料理っぽくなるから不思議。

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食後は甘酒ラテ。出発前にgreenlifgoさんからレシピを教わってきたので作ってみた。用意するのは森永(銘柄指定!)のフリーズドライ甘酒とスキムミルク。他にも色々とチューン出来るらしいけれども初心者なのでデフォで作ってみた。

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これは旨いね。旨いわけだ。森永にはフリーズドライお汁粉、ってのもあるので今度はお汁粉ラテも試してみる。ありがとう!goさん。

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疲れも吹っ飛ぶこの旨さ!って何か顔がやつれてるなぁw

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ここでもダウンケットをひざ掛けにしてバフバフ。風が吹かなきゃ本当に快適。一息入れたので撤収準備。

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今日活躍してる小道具たち。後ろに見える黒いのはキューベンのバスタブフロアー。Zpacksのかな?

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さて長沢背稜を抜けて街へ帰ろう。

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と、長沢背稜に出てみたんだけどノートレース。リボンも無いので時折現れる獣の足あとに導かれて先へ進む。

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膝下程度の積雪、高低差無しでもさすがにトレースなしだと疲労が溜まってくる。足を抜く度に体力が削られていく感じ?中々進まない。コースタイムの倍は掛かる感じ。奥多摩奥秩父のトレース無し程度で根を上げていたら冬の八ヶ岳なんて行けないですね。膝下はラッセルにあらず、らしいです。本気で体力を付けなければ。

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あと最中っていうんですか?コレがまた歩きにくい。ここで止まってくれたら良いんだけどココからまたズボッと埋まっていく。足を抜く時に重いのなんのって。更に体力が削られていく・・・

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この先ずっとですか?勘弁してくれw

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飲水(白湯)も残りが少なくなってきたので喉を湿らせる程度に留めておかなければ。

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酉谷小屋まで来てもトレースなし。多分一杯水までこの最中ラッセルになる事が予測された。そしてこのペースで一杯水まで行くには時間的に不可能だと僕らは判断した。エスケープルートについてバダさんと協議した結果、酉谷避難小屋から林道に抜けるルートを選んだ。本当は素直な1本尾根の七跳尾根からエスケープするのが正しい選択だと後で気がつくが、この時点では行動出来る残り時間を考えて早めに標高を落とす事に囚われてしまったと今は考えている。

ここからは標高を下げて谷沿いを行くトラバースルートに入っていく。踏み跡は無いであろう。体が強張る。早く家に帰りたい、初めてそう思った。地形は頭に入れてきているけれども避難小屋から二人で谷筋を確認。僕はGPSのバッテリーを確認。あと4時間は動く残量だ。大丈夫。バッテリーが無くなる頃には日原で温かい珈琲で乾杯している頃であろう。数少ない水で喉を潤そうとした時、緊張で少し口から零れた。

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ここから先の写真は殆どない・・・

 

 

 

常に緊張を強いられる谷沿いの雪面トラバース。気がつくと目の前に岩盤が切り立っていて前に進めなくなり引き返したり。目の前にある尾根がどう考えても越えられず戸惑って いると40mほど上の方に小さなリボンを発見。四つん這いになり直登したりと雪の斜面を登ったり降りたり戻ったりと這いずりまわった。目印は時たま現れる 獣の足あと。足あとがない場合、バダさんと二人で話し合いその都度ルートを決めていった。何度か引き返すこともあったが概ね正しいルートを探せたと思っている。

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僕は手持ちの水も底を着いたので飲料できそうな小さな沢を探していたけど何せ積雪が凄くて殆ど見当たらない。谷の下には太い雪解け沢が流れているけれどもセイシェルもなく飲むのを躊躇っていた。まぁ、いざとなればそれを飲めばいい。途中、へばったのでパワーゲルを飲んだ。しかし乾いた喉にパワーゲルは自殺行為だった。雪を食べると体力が奪われる、と何処かで聞いた事があったけど僕は諦めて雪をつまんで口の中で溶かして飲んだ。日原に降りたらコーラを飲みまくってやる。心の中で何度も何度も繰り返した。コーラ飲みまくってやる、と。

どれくらい雪に弄ばれていただろうか。ふと、バダさんに声を掛けられた。

”ジャキサン結構我慢してるよね。僕の水もこれで終わり。最後の水を二人で分けよう。これでお互いの飲み水は終わり”

なんか映画で見た事ありそうなシーン。本当に一口だったけれどもメチャメチャ美味かった。そのバダさんの気持に泣きそうになった。そして絶対にこの事はブログに書こう、と強く思った。

 

三又に到着。助かった。ここまで来ればもう安心。全力で疲れた。緊張の連続。三又にきて初めて気が緩んだ。バダさんと二人して大笑いをした。

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途中、小さな沢を発見。僕は我慢できずにその沢水を飲むことにした。以前、ハイカーズデポの土屋さんとkikiさんのトークショーで言っていたことが頭の中にずっとあった。以前、沢の水で当たった事のある土屋さんは基本セイシェル通して飲みたいなぁ、と。すると彼女は確かこのように言っていた。

”私は結構、沢の水飲んじゃうんですよ。直感で飲める、って思ったら飲んじゃう。今まで当たった事はないからかな?でも私は自分の直感を信じてるの。”

僕はこの言葉がずっと頭から離れなかった。今目の前に沢の水がある。僕の直感は”Yes”と言っている。ダイネックスを取り出し沢の水を汲む。”Yes"。解った。俺は飲むよ。自分を信じて。ダイネックスに満たした沢の水を一気に飲み干した・・・

うめぇ!マジ旨い!

3杯ほど一気に飲み干した。飲まない、と言っていたバダさんも耐えられずダイネックスを手に取り沢の水を口に含んだ。僕はバダさんに声を掛けた。

 

「バダさん大丈夫だよ、腹こわしてもあと1時間も歩けば林道に着くから」

 

「ジャキさん、林道に出ても日原集落までは2時間以上歩かなきゃならないのを忘れてるね」

 

そうだった。ここから2時間以上の林道歩きが待っているのだ。しかし僕はバダさんにこう返した。

 

「それなら尚更この水を飲まないと。だって日原まで3時間飲水無しだぜ?」

 

それを聞いてバダさんはダイネックスで水を汲み最後の一杯に口を付けた

この時、バダさんと飲んだ沢の水の味は一生忘れないだろう。軟水。硬度の低い水。それは単なる雪解け水であったとしても。

 

僕らは遂に林道に到達した。

目の前には僕らが目指していたヨコスズ尾根がはるか遠くにあった。今の僕らのレベルじゃあそこまでは無理だって事だな。目の前に広がるその大きな尾根は西日を纏いオレンジ色にキラキラといつまでも輝いていた。

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15時40分。無事二人とも下山。

 

 

終わり。

 

 

Chet Baker / My Buddy



 

何とか日原までたどり着いたがバスは無し。それなのでヒッチハイクで奥多摩駅まで乗せてもらいました。その時のお兄さん達、どうもありがとうございました。

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コメント

ここまで一気に読みましたが、冒険ですね〜!
ハラハラしました。お疲れ様でした。
「冬だから飲水あまりいらないかな」なんて思ったりしてましたが危ないですね。
ヒッチハイクってのもすごいですね。すぐに乗せてもらえました?

山オソン君、どうもです。

結構、焦ったねw
でも、本当に良い経験出来たと思ってる。

水もジェットボイルとか持って行けば水なんていくらでも作れるけど
今回は厳冬期にアルコールストーブを、というテーマだったので
二人してアルコールストーブだったから水作るほど燃料持ってきてなかったの。
今度行くときはジェットボイルで行くよw

ヒッチハイクは良い人で良かった。
捕まえた、というよりもナンパしたんだけどねw

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