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2012年3月15日 (木)

Hiker's Party2012 Spring 「MYOGの世界」、その前に。

今回のHiker's PartyのテーマはMYOG。まずはMYOGとはなんぞや、との説明を。

写真は兎村彩野さん作の『タイベックマ55g』。前日にタイベックを使い遊びで作ったとの事。素晴らしい!

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「MYOG」という言葉をご存知でしょうか?Make Your Own Gear」の頭文字を取ってMYOG。いわゆる自作ギアの事です。読み方は何が正しいんでしょうか。ミョーグ?ミョグ?中にはずっと「妙具」だと思っていた人もいましたねw 特にアメリカなどはDIYの精神が元々根付いているので自作などごく当たり前の事らしいですが、ここ最近の日本においては比較的新しい概念なんじゃないでしょうか。読み方もまだイマイチはっきりしていない、って所に新たなムーブメント創成期感があって良いですね。

 

ここでMYOGって何ですか、と思っている人にはハイカーズデポのHPに解説が載っています。

 

かつては日本でも自作ギアはあたりまえの時代がありました。大正から昭和初期、そして戦後すぐの時代は登山道具が非常に高価であり、流通量自体が少なかっ たため、多くのハイカーや登山者は道具を自作する必要があったのです。軍用品の払い下げ品の改造はもちろん、母親に編んでもらったウールのセーターやソッ クスなども立派な自作ギアといえるでしょう。登山専門店も輸入品だけでなく、彼らのためにカスタムオーダーをうけたり、オリジナルの製造を競っていた時代 といえるでしょう。

そして 「自分の使い勝手に合わせた道具」を求めるハイカー、登山者にとって買ったものに手をいれることは当たり前でした。そうすることではじめて自分の道具になる、という感覚が強かったのかもしれません。

時は流れ2000年代、ウルトラライトハイキングの世界から再び自作ギアにスポットライトがあてられたのです。市販品を否定するというラディカルな側面がとりあげられた時期もありましたが、むしろ現在のハイカーは 自作を通じて「市販品の高いクオリティ」「価格の安さ」に気づかされています。彼らを自作にひきつけるのは自分の世界ができあがる達成感です。自分のハイキングを自ら支え、楽しむ第一歩がギアの自作にはあるのです。

 Hiker's Party2012 Spring =MYOGの世界=開催のお知らせ」より抜粋

 

つまり道具を自分が使いやすいように「作る」「改造する」って事です。以前に僕がバックパックを作った時にショルダーハーネスのデザインで悩みハイカーズデポの土屋さんに相談した事がありました。「背負いながら自分に合うように調節していけば良いんだよ」、とアドバイスを貰い結局取り付け位置を3回変更してベストな位置を出すことができました。そしてこうも言ってくれました。 

もし他のヤツが何このバックパック背負いにくいね、なんて言われたらこう言ってやんな!

 

あ、ごめん、それ俺専用だから。俺以外は背負いにくいかもね

 

要は今使っている道具が使いにくい。だったら自分が使い易く改造する。もしそういった仕様の道具が売っていなかったら自分で作る。これがMYOGなのではないかと思います。

 

今回、出席されていませんでしたが、自作の道具を作り歩く、というこの世界を昔から実践しているのがブログ「山より道具」を書かれている「UL界のビックダディー」ことULGさん(最近本も出版されました)。かなり以前からMYOGを実践されていていて、その先駆者ならではの孤独なMYOG奮闘記は今でも僕らに多大な影響と刺激を与えてくれています。最近だと2011年にトリプルクラウンを達成した日本を代表するスルー・ハイカー舟田靖章さんは正にUSスタイルのMYOGを実践されているハイカー。彼のHP逍遥遊(しょうようゆう)」の「装備の自作について」の中で詳しくMYOGについての熱いスピリットを紹介してくれています。彼は自作の道具で数千キロものロングトレイルを歩きながらMYOGを実践していますし、とにかく彼のHPは情報が濃いので是非そちらのHPへ。

 

しかし、MYOGだからと言って既製品の全てを否定している訳ではありません。マスプロ製品には無い無駄を省いて軽量化したバックパックやサイズを自分用に設計したシェルター等の自作はもちろんMYOGの王道ですけども”既製品の改造”というのもあるのです。ハイカーズデポの土屋さんは僕に言いました。

1からの創り上げる自作もMYOGだけれども、現在使っている道具を自分が使いやすいように改造する事もMYOGの基本だよ

この道具のココがアレしてたらもっと便利なのに、と思った経験は皆さんもあるのではないでしょうか。僕のハイキングで使う道具達は何かしら手を入れています。アストロホイルでミニトランギアセットの鍋用のコジーを作った、Jetboilのネオプレーンコジーがダルダルに伸びるので自作のバンドで止めて使いやすくしてみた等・・・

MYOGと言ってもこんな道具の改造でも立派なMYOG。まずはこんな所から始めるのも良いじゃないですかね。”ここをアレしてコレすれば使いやすくなるな”と考えた時点でそれは既にMYOGの世界。パタゴニアやノースフェイスだって最初は小さな作業机の上から始まったわけです。

 

では記憶が定かではないのですが舟田靖章さんの言葉として記憶している言葉を紹介します。(違ったらすいません)

 

バックパックの長く余ったストラップにハサミを入れて短くカットした時に何かが変わった。僕のMYOGはそこから始まった

 

皆さんも気軽にMYOGりましょう。いずれ山道具を選ぶ時の見方が確実に変わりますよ。 

 

 

最後に今回のHiker's Party2012 Spring 「MYOGの世界」でMYOGを紹介したハイカー達が所属するMYOG Japanについて書きたいと思います。

MYOG Japan」とはFacebook内にある自作系ハイカーの集まりの名称。参加者は僕のような単なる名も無きハイカーから日本のULシーンを支えるガレージメーカーのデザイナーやバックパックデザイナーまでもが名前を連ねる日本初のMYOGコミュニティ。

事の始まりは去年の秋。あるハイカーの送別イベントの時に僕が最も影響を受けたブロガーの一人でもあるWanderZさん(以後、ワンワン)が自作系ハイカーに声を掛けた事から始まる。僕もその時に声を掛けてもらった一人。その時は自作のバックパック等、数点を持って参加、途中からMYOG発表会のようになりかなり盛り上がったイベントだった。その時に集まったMYOGハイカー達で色々は情報交換が行われた。

「ミシン何使ってるの?」「JUKIはヤバいね」「細い針で太い糸を使ってだな・・・」「針は何番使ってる?」「糸はどこの?何番?」「その生地は何処で・・・」

このイベントには『山と道』のデザイナーでもある夏目さん夫婦や『Hariyama Productions』の三浦さんも来られていて僕も色々と縫製の相談に乗ってもらったりした。その時の異様に熱い光景を眺めていたハイカーズデポの土屋さんがその喧騒を避けながらワンワンの耳元に口を近づけた事が全ての始まりだった。

何なら自作道具でHiker's Party1本やってみようか?

しかしそこは酒の席。いろんな男の夢が浮かんでは消え浮かんでは流れの世界。しかしワンワンはここからが凄かった。酒の席の話では終わらせないぜ!とばかりにその時に参加したメンバー10人程度に声を掛けてFacebook内に「MYOG Japan」というグループを立ち上げた。その後、知り合いのMYOGハイカーを呼び込む形で20人近く集めてMYOG情報の共有を始めたのだ。その動きとリンクするように丁度その頃からTwitterやBlogなどでも自作の話題がチラホラと盛り上がりを見せ始めてきていた。

結構みんなMYOGに興味あるじゃないか・・・

ワンワンはそう思ったに違いない。機は熟した。これならMYOGでHiker's Partyが出来るぞ。

つまり「MYOG Japan」とはHiker's Partyの実現する為にワンワンという男の立ち上げた夢(ロマン)でもあるのだ。そしてその思いに胸を(場所)貸してくれた土屋さんの男気。その2つが今回のHiker's Partyを作り上げたといっても過言では無いのだ。その後、ワンワンや土屋さんとの打合せに僕も呼ばれ今回のHiker's Party大まかな進行、人選等に少しだけ関わる事になった。そして今回のMYOG Japanが送り込んだ発表者達は以下の10人。

Ondou Daiki さん 『高機動装備
hariypro さん 『Hariyama Productions』 
さんぽ さん 『Sanpos' Fun Lite Gear (現在Mmoonlight Gear内にてSanpo CF Stove販売中) 
KMD さん 『できるだけ山』 
ベイクドポテト さん 『BBL2』 
コッシー さん 『Less is More』 
ogawand さん 『cycle-wand』 
ランブラー さん 『夜明けのランブラー』 

そして、Wander-Zさん 『Wander-Z』 と私、JackieBoySlim/深大寺山道具製作所『Flickr MYOG』。(順不同)

 

 

各自、当日まで誰も手の内を見せてくれなかった所が不気味だけど。みんな優勝を狙ってるな。やばい、僕は何も作ってないぞw

と、こんな感じでハイカーズパーティーの当日を迎えたのでした。

 

本編に続く。

 

We're Gonna Make It / Little Milton

 

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コメント

僕はジャッキーさんの妙具の数々、好きですよ。

パーティお疲れ様でした^v^本当にすごく楽しいパーティでしたね!ジャキさんや皆さまにお会いできたこともすごく嬉しかったです。今度はゆっくりお酒を飲みながらお話しましょうね!!
(あまりの興奮と楽しさに、写真を1枚もとっていなかったことにあとで気付きました^^;)

あ、熱いね…!

883も、そろそろ次の領域へ踏み出したいと考えています。

それと、最近は、デイハイクくらいなら行ってみたいなーと思うようになりました。その分野の師匠には事欠かないし★

クロちゃん、どうもです。

妙具はアヤノちゃんが発明した言葉です。
言い得て妙ですよねw

好きなんて言ってくれるなんてお世辞でも嬉しいです。
今回の僕の役目はMYOGのハードルを下げる事。
あいつが出来るなら俺も、みたいな感じで思ってもらえれば本望です。

師匠、どうもです。

日帰り強行軍、お疲れ様でした。
みんな師匠のステッチの確かさにビビってましたよ。
あとは現場テストですね。バックパックは特に強度と軽さのバランスが
難しいですよね。
あの石ころを運んだマスプロのバックパックに負けないのを
お互いに作って行きましょうねw

883さん、どうもです。

ハヤミンも来れば良かったのに。
てか、次の領域って何さ。気になるね。

日帰りじゃ面白くないからせめてオーバーナイト行っときましょう。
暖かくなったら行こうね、ハヤミンw

HIKERならMYOG…BIKERならchopデスネ…(^^)d

Kabuさん、どうもです。

>BIKERならchop

Chop、とは何でしょうか。
C、H、O、P・・・
駄目だ、わかりません。教えてくださいw

チョッパーの語源。チョップするは自分流に弄るです。『俺意外には乗りにくいかもね』…です(笑)

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